極上の仮名展(五島美術館)、古筆切展(根津美術館)に行ってきました。
仮名古筆を肉眼で観ることができるのは、貴重でとても勉強になります。
高野切一種と関戸本は、何度も鑑賞しました。
私は、臨書では、漢字より仮名古筆が、
半切などの大きな作品に拡大して書くより
原寸の非常に細かい仮名古筆の臨書が、とても好きです。
二玄社の日本名筆選の古筆本は、20年程前から
神保町の古本屋さん等で少しずつ集めて、現在は手元に全部で重複で買ってしまったものも含め49冊あります。
臨書をするときにお勧めです。
本の印刷物も美しいですが、肉眼で観ることの貴重さは、私にとっては、何といっても、墨の状態です。
墨の濃さ、色、濃淡、潤渇、渇筆の具合です。
習いたての方は、
仮名書道の美しさは、料紙等の見た目に魅かれる方が多いのではと思います。
高野切一種の雲母砂子が、角度を変えて観ると
きらきらと光り、印刷本では観ることができない美しさでした。
仮名書道の美しさは、
仮名文字の字形や、
真名や、草仮名、変体仮名、平仮名を交えていること、
命である連綿、散らし。。。。
こういった流麗美は、墨が美しいから表現できます。
臨書は、古を習う態度のことで、
用筆、字形、太細、墨の色、濃淡、潤渇、行の構成など、個ではなく、古に忠実に習っていくことです。
仮名書道の臨書(仮名書道に限らずですが)は、字形などだけでなく、”墨”のことを習得していく必要があります。
自身で、どんな墨を使い、どの位おろし、どの位時間が経過したら、湿度がどうだったら、墨がどう変化し、料紙にどう出て、筆に含んだ墨が、どの位の時間が経過すると、筆の鋒先(ほさき)がどうなっていき、料紙にどう出るか、書いていくときに、どうしたら潤渇が、連綿が、渇筆が綺麗に出せるのかと習っていくことが大切です。
黒々した墨液で、書き振りが速い方がいたら、
それは、臨書ができていないことになります。
尊敬している書芸院のI先生に、
墨のことなど、色々と質問しますと
「色々と自分で試してみることよ。
色々と鑑賞することよ。」と仰います。
墨の状態をよく鑑賞できました。
今後の臨書の作品作りに活かしたいと思います。
皆さまも、ご自身が好きと思える古筆に出会い
鑑賞、臨書のポイントとして役立てていただけたらと思います。