翠竹先生の書は、龍のようで紙面から浮き出て今にも空に舞いそうな印象を持ちずっと観ていたくなります。
龍のようなとは、ただ勢いがあるだけとか、濃墨を使い膠が光っているとか、紙が華やかで見た目にインパクトがあるということではありません。深くしっかりと研鑽に裏打ちされた品格のある書です。
同じように真似て書いたところで
品格のある書は、一朝一夕には到底生まれないのですから、(真の書家の書を観ることができるのは、)本当に貴重で限られていると思います。
今年、85回の記念展で私が6歳から所属している公益社団法人 大日本書芸院の創設者 阿部翠竹先生の肉筆が、33点程も展示されます。
子どもの頃からずっと、なぜこんなに生きているような、飽きずにずっと観ていたくなる書がお書きのなれるのか、特別な才能をお持ちなのだと思っていました。感性が特別に優れているのだと。。。。
けれど、それは違っていました。
古典を、人としても、何十年も研鑽し続けてこられからこその、自己顕現の書作でした。
先生のご執筆された会報誌の中の一節に、「善い書は、品位と格調が高いもので、人間と同様」とあります。
「書は人なり、心正しければ書もまた正しい」といつも目にしてきた言葉が、まさにその通りだということを、ここ数年でやっと理解できるようになった気がしています。
真の書家の肉筆を観られる貴重な機会です。是非、皆さまも生きた龍のような書をご覧になっていただきたいです。
毎年恒例ですが、私も新宿教室の一般部の生徒様と共に出展します。今年は全員、漢字条幅です。
会場の作品は、皆、墨の色も研究されている作品ばかりです。墨色は、黒だけだと思われている方も多いと思いますが、青墨、茶墨、水までこだわり文房四宝の馴染みを大変研究されている方が多いのは、書芸院の誇れる内のひとつでもあります。
是非お越しになってみてください。